地雷のなくなった大地から、笑顔の芽が伸びてゆく

新しい学校が、子どもたちの未来を描く

2022年11月24日、9時30分。曇り空の隙間から光が差し込み、風景が明るくなってきました。ここはカンボジア北西部、タイとの国境に位置するバンテイメンチェイ州。

カンボジアでコマツの復興プロジェクトが建設した10校目となるコマツスラロウチュラム小学校の開校式典が行われました。学校建設は、地域復興の大きな成果。地雷を除去し安全な土地に生まれ変わった証です。

式典に集まったのは、約400名。復興プロジェクトのメンバーやバンテイメンチェイ州の政府関係者、さらに学校の先生や子どもたち、地元の方々も参加する盛大な催しとなりました。テープカットで始まり、国歌斉唱、そしてコマツ社長の小川によるスピーチと続きます。子どもたちは揃いの真っ白なシャツで正装し、そわそわ落ち着かない様子。話に耳を傾けながら、時折、友達と楽しそうにじゃれあっています。その晴れやかな笑顔が印象的でした。


地雷原の中に学校があった

国境付近となるこのあたりの土地は、1970年代に勃発した激しい内戦により、現在も地雷や不発弾に汚染されています。
(カンボジア全土には地雷が約400万個、残存汚染面積は2,000km2以上もあると言われています ※2017年〜2020年頃までのデータ)

それまで子どもたちが通っていた校舎は老朽化が進み、トイレもありません。また、比較的低い土地にあるため、雨が降ると辺り一面が浸水してしまったそうです。

「雨の日は勉強ができなかったんです。雨が強いと学校が壊れそうだったので、みんな怖くて校舎に入れませんでした。」

当時のことを聞くと、子どもたちはそう教えてくれました。


地雷を除去し、安心できる土地へ

コマツは2008年から社会貢献活動として、日本政府の支援を受ける認定特定非営利活動法人「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」と共にカンボジア復興プロジェクトをスタート。

現地ではカンボジア地雷処理センター(CMAC)とも連携しながら、地雷除去だけではなく、道路などのインフラ整備、学校建設、農地整備まで支援を広げ、地域の人々と一緒にコミュニティ復興を目指しています。その活動をサポートするのが、コマツの建設機械をベースに開発した対人地雷除去機。これまで地雷の除去は、まず金属探知機で捜索し、人の手により無力化するのが基本でした。

一方、対人地雷除去機を使用した場合、作業員の安全を確保するだけでなく、地雷を取り除くスピードも手作業の25〜50倍にもなり、4~5日で1ha近くもの土地を安全にできるのです。

また、ICT機能を搭載したブルドーザーが地面を均平化。田圃の整地によりコメの収穫量が約2倍に増えた土地もあると聞きました。


地雷が消えて、見えたもの

式典が終わりに近づくころ、高学年の子どもたちから歌の贈り物がありました。今日の式典のために一生懸命練習してくれたそうです。そして式典の終了後、交流会が始まりました。

「一番好きなのは、新しい教室で勉強している時間です。」
そう答えてくれたのは、小学6年生のスレイヌットさん。

「雨が降っても勉強できるのが嬉しい。大きくなったら、エンジニアになりたいです。」
クラスメートのティアナくんも目を輝かせています。

最後に校長先生からこんなお話を伺うことができました。
「新しい校舎ができたことで子どもたちの表情が変わり、学習への意欲を感じました。勉強を続けて、立派な社会人になって、それぞれの未来を切り拓いてほしいです。」


カンボジアの豊かで美しい未来を願って。

地雷を除去することで安全な土地になり、そこに安全な道路が通り、農地や学校ができる。

人々が戻ってきて、コミュニティが生まれ発展していく・・。

式典で子どもたちにプレゼントした、まっさらなコマツのキャップ。

太陽の光を受けてさらに輝く子どもたちの笑顔が、カンボジアの明るい未来を映し出しているようでした。

 

対人地雷処理とコミュニティ開発支援

コマツは、対人地雷の被害に苦しむ地域において、地雷処理から復興までのコミュニティ開発を目的とした支援活動を行っています。

これまでにカンボジア、アフガニスタン、アンゴラ、ラオスで地雷処理活動に取り組んできました。

地雷処理活動の歴史、現在の取り組みについてご紹介します。

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