クローラー式フォワーダーのコンセプトマシン「Centipede」
スウェーデンで開催された「SWEDISH FORESTRY EXPO2023」に出展されたクローラー式フォワーダーのコンセプトマシン「Centipede」。それは、コマツフォレストとスウェーデンの林業会社8社の共同による大規模プロジェクトで、開発までに10年もの月日を要しました。
プロジェクトリーダーであるアントンさんに、開発にまつわる話を聞いてみました。
Q1. 「Centipede」というネーミングの意味は?Q1. 「Centipede」というネーミングの意味は?
「Centipede」とは、ムカデという意味です。地面への負荷も少なく、スピーディーに動くその姿が、100本の足を持つと言われるムカデに似ているところからインスピレーションを得て、この名前をつけました。
Q2. 土壌への負荷の低減はどうして重要なのでしょうか?Q2.土壌への負荷の低減はどうして重要なのでしょうか?る
土壌が圧縮されると樹木の根が発達しにくくなり、成長に良くない影響を与えてしまいます。森林を健康な状態で維持するためには、林業機械が動く際に地面に負荷を与えないことが重要になります。特に最近は、地球温暖化によって、土壌が凍結しない期間が増えてきました。そのため、柔らかい土に重いものなどが置かれるとより圧縮されやすくなり、地面がより傷つきやすくなるということが問題視されています。「Centipede」は、地面の損傷のリスクを軽減しながら、走行速度を上げ、オペレーターの全身の振動を減らすようにつくられています。
Q3. 開発において特に苦労した点は?Q3.開発において特に苦労した点は?
この開発は、今までにない全く新しいコンセプトの機械を生み出すという、まさにチャレンジの連続でした。何度もシミュレーションを重ね、コンセプトの変更なども行いながら、10年をかけてようやく完成しました。特に画期的なのが、樹木の根を傷めないよう、地面に優しい低接地圧設計で、ゴム製のシューを採用したラバートラックと呼ばれる走行システムです。
これにより、林業機械の未来への道を拓いたと言えます。
Q4. 8社の林業会社とのコラボレーションで得たものは?Q4.8社の林業会社とのコラボレーションで得たものは?
1つ目が、私たち自身が、林業機械のオペレーターの減少や気候変動による土壌の変化といった、林業会社の課題やニーズをしっかりと把握することができたことです。2つ目が、完成したコンセプトマシンを、実際に森林の現場におけるオペレーションの中で試すことができたことです。まさに、複数の企業の目的意識や思いがひとつになったプロジェクトで、今もなお、コマツと林業会社との関係は密接につながっています。まさに、コマツのブランドプロミスである「Creating value together」を体現した開発だと思っています。
Q5. コンセプトマシンが完成した時の気持ちは?Q5.コンセプトマシンが完成した時の気持ちは?
私たちのチームはもちろんですが、いろんな部門や立場の人たちが、長い時間をかけて、試行錯誤を繰り返してようやくできた機械です。ですので、なかなか言葉では言い表せない、本当にこのプロジェクトに参加してよかったという思いでいっぱいになりました。
完成後のセレモニーでコンセプトマシンが稼働する姿を見た時には、みんなが大きな喜びと誇りを感じていたと思います。
Q6. 林業機械の開発における今後の夢は?Q6.林業機械の開発における今後の夢は?
コマツは安全で、森林への環境負荷の少ない林業機械の開発、DXソリューションによって作業の効率化を実現するスマート林業を推進しています。機械とソリューションの提供で植林、育林、伐採のサイクルをつなぐ循環型林業を推進することで、樹々によるCO2の吸収を促進し、脱炭素社会の実現をこれからも目指していく。
コマツの林業事業は、モノとコトの両輪で、地球のサステナブルな未来へ前進します。