その道は、2050年へつづく

建機はハイブリッドから電動へ

地球温暖化を抑制するために、CO2排出の削減がすべての企業の課題となった2000年代。コマツが注目したのが、コマツのサプライチェーン全体のCO2排出のうち、現場における製品使用時のCO2排出が、約90%にも上るということでした。これを解決するためには、エネルギー効率のよい建機、CO2排出の少ない建機の開発が急務でした。それは、コマツの一丁目一番地とも言える「モノづくり」の力を存分に発揮する機会となりました。

建機の電動化の本格的な探求の契機となったのは、2008年に発表した世界初のハイブリッド油圧ショベルの開発。以来、製品の電動化を進めてきました。先に電動化を実現したフォークリフトに加え、油圧ショベルも小型から大型まで電動化のラインナップを拡大しています。

 

 

お客さまのニーズに合った建機をこれからも

脱炭素の未来に向けた道のりをより確実なものにするために、コマツが設けた建機開発の方向性は、電動化だけでなく動力源や燃料など、できるだけ多くの選択肢を提示すること。それはバッテリー車、燃料電池車、ディーゼルエレクトリック車、バイオ燃料やe-fuelを使用するディーゼルエンジン車、そして、水素エンジン車などといったものです。

たとえば、つねに過酷な環境にある大規模な鉱山においては、現場環境の状況に応じて、エンジン、トロリー、バッテリー、燃料電池などの動力源を切り替えられるダンプトラックが力を発揮します。電源が確保できずバッテリーの充電が困難であったり、あるいは稼働時間が長く充電時間を確保できないといった大規模土木現場や砕石現場においては、燃料電池車や水素エンジン車などが選択肢に入ってきます。このような、お客さまの現場環境にもっとも適した建機の提供をめざしていきます。

また脱炭素社会を実現するためには、建機だけではなく、現場全体のオペレーションを視野に入れた取り組みが必要です。現場全体の作業効率を高めるために人材や機械の数や配置を最適化するようなソリューションもCO2削減には有効であるとコマツは考えています。



 

カーボンニュートラルの先の未来へ

コマツの取り組みはCO2排出の削減に留まりません。例えば、自然環境保護やサーキュラーエコノミーの観点から重要性が見直されている森林は、脱炭素においても重要な役割を担っていますが、その管理や植林の作業は多くを人手に頼っています。コマツはプランターなどの植林機械を開発し、また植林作業全体を効率化するようなソリューションを提供していくことにより、森林の健全な再生と循環を目指しています。

これらの活動を通じて、2030年までにCO2の排出を実質50%削減(2010年比)し、再生可能エネルギーの使用を50%にすること。それは、2050年までにCO2の排出を実質ゼロ(CO2の排出量と吸収量を±0)にするカーボンニュートラルという、チャレンジ目標につながっていくのです。

そして、コマツの建機開発における進むべき道は、人と社会と地球の健やかな未来の先へとつづいていきます。