油圧機器開発:D475A-8

世界で、大きなものを作って動かす。スケール感のある仕事をしたかった

H・S/ 2012年入社/機械システム工学卒/所属部署(当時):開発本部油機開発センタ
世界で活躍できて、大きなものを作って動かすことができる仕事に就きたいと考えていました。

ブルドーザの激しい動きに耐えられる油圧機器開発がミッションに

D475A-8では、油圧ピストンポンプの開発を担当しました。D475-8のような鉱山機械には信頼性がとても高い次元で求められます。これは万一トラブルが発生した場合、お客さまのオペレーションが止まってしまうからで、1時間ストップしただけでも計り知れない損失を被ることがあります。そこで高性能かつ耐久性の高いピストンポンプ開発を念頭に置き、ポンプが油を吸い込む、作動油タンクの構造についても車体設計とともに検討を進めていきました。ブルドーザーは、車体全体で作業をする建機であり、前進後進の切り返しも多く、作動油タンクおよびタンク内の作動油は大きく揺動します。その際にピストンポンプの故障の原因となる空気を吸い込まない構造をどう実現するかが開発のポイントでした。コマツはキーコンポーネントを内製化しているため、実際に実験現場で車体設計担当と議論しながら仕様を決めていきました。その甲斐もあって、納得のいくものに仕上がったと感じています。

ドイツ留学のお土産は、自部門の解析技術向上

入社6年目に社内制度を利用してドイツに留学しました。もちろん仕事での留学でしたが、自分のやりたい研究をさせてもらいました。すべてが新鮮でしたね。中でも驚いたのは、ドイツの人の仕事に対する考え方です。日本人は助けを求めればすぐに協力してくれる人が多いですが、ドイツの人は自分の仕事が終わらない限り手を貸してくれません。自分の持ち場を最優先するまさにマイスターという雰囲気で、仕事に対しての誇りがすごく高い印象でした。海外には、まだ日本に導入されていないさまざまな解析ソフトウェアが多くある事を知ったことも大きな収穫でした。帰国後は留学先で検証していた新しい解析ソフトを自部門に導入し、現在も多くの人に使ってもらっています。

油圧機器でしかできないこと。電動化が進んでも、それは変わらない

これまで開発してきた油圧機器とは、まったく違う新しいものを作っていきたいですね。そのために、普段から特許の資料や大学の研究論文はもちろん、他社の製品情報にも目を通しています。市場の動向を見ながら、コマツだったらどう使えるかを考えています。油圧はコンパクトな機器で非常に大きな力が出せます、そこに油圧の醍醐味があるかなと思っています。例えば、油圧ショベルのシリンダー、人間で例えると腕を動かす筋肉に当たる部分です。電動化が進んでも油圧に代わるものはしばらくは出てこないと思います。これからもその時代にあった油圧機器の開発を目指していきたいですね。