パワートレイン開発:WA475/470-10

大きな機械を設計したいとコマツへ。入社後は新しいことが続々と

S・N/ 1996年入社/理工学部卒/所属部署(当時):パワートレイン開発センタ
とにかく大きな機械を設計したかった。入社後は新しいことにたくさん出会えました。

自社開発できるコマツだから、数々の難局を打破できた

WA475/470-10 では運転操作性と燃費の向上を高いレベルで求められていましたが、それに応える新機軸のトランスミッションの開発を担当しました。結果、ホイールローダーとして初めて*全車速域においてシームレスな変速を行えるトランスミッションを開発して市場へ導入することができましたが、この機械は設計・製造部門の垣根があっては作れない機械でした。作業機やエンジンなどすべてが常に連動する機構なので、エンジン、トランスミッション、アクスル、油圧機器などのキーコンポ―ネントを自社で開発するコマツでないと開発できなかったと思います。緊急で部品が必要になり社外では間に合わない状況でも、内製できる技術があれば工場内で部品製作対応が可能となります。困ったときこそ助け合う精神をもつコマツのチームワークに本当に感謝しました。
*当社調べ


まず実際に触れること。設計・開発で大切なこと

設計者といえど、現場や現物を通じて経験することを忘れてはいけないし、現物抜きには良いものは作れません。新人の頃、普段行わないバルブの分解組み立てを勉強を兼ねて行っていたら、知らずにシールを洗浄液で洗ってしまい膨張して組み立てができなくなったことがあります。シールの素材が何で、洗ったらどうなってしまうか判っていなかったことが原因でした。同じように、設計や開発の作業でも図面からは感じない気づきが現場・現物・現実にはたくさんあります。私と同じ失敗を繰り返さないために、敢えて失敗談を話しながら実際にものに触ってみて感じることは大切だと、アドバイスする時もありますね。

新しいものを生みだすには、温故知新の発想が必要

私は、新しいものって実は過去のものの組み合わせだと思っています。WA475/470-10の時にも、その前に携わった電動モーターを使用したアクスルの先行研究の時にも、あらゆる技術を先入観なく客観視して取り入れるということが大切でした。つまり、建設機械だけではなく、自動車でも乗り物以外の何でも世の中にあるものをまっさらな目で取り込む。その中で可能性のある新しい組み合わせを探していく。このような発想をベースに新しいパワートレインの開発に今も取り組んでいます。