いつか誰かがやらねばならないことを、
私たちがやろうと思った。
いつか誰かがやらねばならないことを、
私たちがやろうと思った。
戦争や内戦の影響でカンボジアには地雷の残された地域が数多く存在し、今でも死傷者が絶えない。中でも北西部のタイ国境付近は対人地雷の埋設地域が広大で、開発が進められない状況になっていた。荒れ果てた農地や閑散とした村に人々が戻ってくるように。まずは埋められた地雷を除去しよう。踏みしめる大地を安全にすることが、私たちの最初の仕事だった。
●現地聞き取り調査/地雷原に住む地元の人々や現地スタッフに話を聞き、埋設された地雷の場所を特定する。●金属探知機による地雷原の特定/灌木などを除去しながら金属探知機で地雷や不発弾などを探り出す。●対人地雷除去機による地雷除去/遠隔操縦もできる特別な地雷除去機で、残存する地雷を爆破処理する。●さらに深部探査による安全確認/道路や農地へ転用する際の安全を確保するために、地中深くまで危険物の有無を探査する。●安全な土地へ。地雷原だった場所は道路や農地などに変わり、コミュニティが復興する。
それまで地雷の除去は、地道な手作業で行われていた。棒やスコップで地面を掘り、ひとつひとつ取り除く。手間と時間が膨大にかかり、作業員の危険も伴う。
2008年から始まったプロジェクトの成果として、地雷原は現在ここまで縮小されている。数百万個の規模で埋められていた地雷が少しずつ消え、荒れ果てた土地は生き返った。田んぼや畑ができ、道路が生まれ、人々が集まるまちになった。地雷原のあった場所が、コミュニティの行き交う場所に変わっていく。
JMAS専門家
中野さん
数多く残されているのが、対戦車地雷と対人地雷です。最初は地雷原の近くに行き、ここでどのような戦闘があったかを現地の方々に伺います。そして地雷除去の方法を決めるのです。人力で処理するか、対人地雷除去機を使うか、など気候の影響などもあるので慎重に検討しています。2025年までに地雷ゼロにするオタワ条約の実現を目指し、日々頑張っています。
CMAC隊員
マルーンさん
地雷除去機のオペレーターのほか、機械工も担当しています。1日およそ2〜3千平方キロメートルを作業することが多いです。事前に調査隊が確認をするのですが、危険なのは鬱蒼とした森で、調査のときに爆発することもあります。地雷除去された土地にたくさんの住民が移住して、水田や畑をつくり暮らしているのを見ると、嬉しい気持ちになりますね。
CMAC隊員
マリナットさん
私たちの仕事は、探知機で地雷を発見することです。他のスタッフの草刈りが終わってから、防弾ベストやヘルメットを装着して作業しています。探知機が反応したのに、地雷の音か別の音なのかわからない時は少し怖いですがほとんどは小さい金属片に反応した音です。コマツが学校建設などカンボジアの子どもを支援しているのを見て、嬉しさとともに感謝しています。
*所属や肩書は取材時(2022年)のものです。