建設機械の未来を拓く社員たちの座談会
水素燃料電池搭載の中型油圧ショベル開発という、コマツ初のチャンレンジを実現するために、全国から集められた社員たち。
コンセプトマシン開発にかけた熱い思いと、メンバーで力を合わせた日々について聞いてみました。
中山
担当: | 建設機械の試験 |
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役割: | 完成車両の試験 |
2015年入社 |
三星
担当: | 建設機械の試験 |
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役割: | 完成車両の試験 |
2015年入社 |
渡邊
担当: | 電動車の開発・設計 |
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役割: | 制御ソフトウェアの設計 |
2018年入社 |
中川
担当: | 油圧ショベルの開発・設計 |
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役割: | 構想、3Dモデル作成、 強度・性能の検討・試験への参加 |
2018年入社 |
今回のプロジェクトについて教えてください。
通常、油圧ショベルの試験は開発を担当している工場内の試験場で行いますが、今回は試験場も含めて一からつくるという難しさがありました。普通のショベルと違ってディーゼル燃料が使えないので、まず水素をそこに持ってくるところから始まりました。プロジェクトメンバーや工場の方と一緒になってつくりあげた達成感があります。
全国にいるプロジェクトメンバーが、出張ベースで一カ所に集まって仕事を進めたのも、特徴的だと思います。長い時間一緒にいることで、メンバーとも仲良くなれました。
4人が顔を合わせて一緒に仕事をしたのは、ごく短い期間です。かなりのスピード感をもってプロジェクトが進められました。
今回はプロジェクトメンバーも少なく、マネージャーの下が、全員30歳前後のこの4人でした。コマツには、若手にまず挑戦させてみようという風土があります。
濱口マネージャー(中央)と、このプロジェクトのために全国から集まった4名
プロジェクトにはどう取り組みましたか。
大事なプロジェクトに参加している、という意識がありました。今回の水素燃料電池は、カーボンニュートラル達成手段の一つです。コンセプトマシンの開発には、大きな意義を感じました。また、自身の技術の専門性を磨くチャンスでもあると思いました。
普段の業務では、バッテリーなどの車体への搭載を検討しています。今回は、カーボンニュートラルに向け、それとは違う手段である水素燃料電池を、建設機械の中でどうやって制御したらいいかを検討しました。トライ&エラーが最前線でできる環境だったので、水素燃料電池の特性をうまく学びながら設計できたと感じています。
水素を使用したコンセプトマシンの開発という、またとない経験ができると思い取り組みました。
プロジェクトにおける忘れられないエピソードは?
リーダーをはじめ、プロジェクトメンバーに恵まれました。少人数でこれだけのスピード感で進めるとなると、コミュニケーションをしっかり取る必要がありました。うまくいかない瞬間ももちろんありましたが、設計では渡邊さんに助けてもらいました。試験では、三星さん、中山さんですね。
本当に設計同士のコミュニケーションはとても円滑だったと思います。結局、動き出してからの不具合への対応ってソフト側でもいろいろやりますが、並行してハードの状態を確認したりだとか、協力してやらないといけない場面がすごく多くて。そういったときに設計の中川さんや試験の方も積極的に対応してくれて。不具合の解消もかなり早くできました。
車体が動き出すまでが、本当に大変でした。最初は全然動かなかったんです。渡邊さんが旗振りをして解決策を進めてくれたんですよね。
結局、自分の力だけで解決ってのは、なかなか難しくて。ハード側ではここは問題なかったよっていうような情報が周りからすぐに集まったことでソフトのこの部分が悪いというのがすぐに絞り込めました。振り返ると、どれだけ早く不具合の原因に近づけるかというのがポイントだと思います。みなさんの協力で早期に不具合の原因にたどり着くことができました。
肩書はそれぞれ試験とか設計とかで分かれていますけれど、いい意味でお互いの領域にも意見が言えるような関係があった気がします。みんなが互いの役割をカバーしてプロジェクトを進めることができました。
真剣な眼差しで試験をする三星さん
トライアンドエラーを繰り返して完成に近づいていく
水素燃料電池に対する期待や思いについて教えてください。
バッテリーの場合は、充電時間がネックになります。24時間稼働の現場だと、昼はフル稼働するが、夜間は充電の為稼働できないと思います。水素燃料電池であれば、充電時間の問題が解消されます。カーボンニュートラルに加えて、利便性の付加価値もつけることができます。
今回のコンセプトマシンでは、性能面でも社会で運用するビジョンが見えたと思っています。建設機械は、普通の乗用車に比べると使われ方がだいぶ激しいです。水素タンクや配管も思いっきり揺れるので、振動への対策が必要になってくると思っています。水素の補給方法や、水素の価格など水素燃料の活用は外部環境で決まるところもありますが、そのあたりをクリアできたら、水素×建設機械の未来は明るいと思います!
燃料電池を活用することを考えたときに、燃料電池とその他のコンポーネントとの組み合わせのなかでどうエネルギーを効率よく使っていくかがすごくポイントになると考えています。今回の試作車で、取れたデータをフィードバックすることで、今後のソフトの設計に活かせると思っています。
燃料電池は聞いたことあるけど、実際どういうものなのかは分からないと言う人は結構多いと思います。私もプロジェクトに入る前はそうで、入ってからすごく勉強しました。これから新しいエネルギーが出てくると思いますが、同じようにいろいろな拠点の人が一緒になってできるといいなと思います。
コンセプトマシンの開発を経て、今後どのような夢をコマツで実現したいと思いますか?
コマツは、カーボンニュートラルの目標に向けいろいろな技術で建設機械をつくっています。技術力があるのがコマツの特徴だと思っています。いろいろな技術を集約して、協力して、コマツの電動化技術を融合した建設機械をつくることでカーボンニュートラルへの貢献を最大化できたらいいなと思っています。コマツであれば、決して不可能ではないと思っています。
私の勤務先の工場は、コマツの中でも製品の電動化が最も進んでいます。これから、水素を含めた新しいエネルギー源を対象とした開発が進んだら、さまざまな選択肢の中からヒット商品も生まれるんじゃないでしょうか。
社会はすごい速度で変化しています。カーボンニュートラルに向けた取り組みは、国内の他の会社や海外ではもっと進んでいるところもあると思っています。今回のプロジェクトも、コマツの海外エンジニアや、パートナー企業とも連携を取りながら進めてきました。コマツだけでは絶対見えない景色をすでに見ている人たちがいて、その人たちとタッグを組んでやっていくのが大事になってくると思います。社内の技術を活かして、社外のパートナーと組んで新しいものをつくることで、大きな価値が生み出せるのではないかなと思っています。水素燃料電池の先が、本当に楽しみです。