リスク管理の基本方針と体制

事業の継続と安定的発展を確保していくことをリスク管理の基本方針とするとともに、リスクを適切に認識し、管理するための規程として「リスク管理規程」を定めています。

リスク管理に関するグループ全体の方針の策定、リスク管理体制の見直し、リスク対策実施状況の点検・フォロー、リスクが顕在化したときのコントロールを行うために「リスク管理委員会」を設置しています。リスク管理委員会は、審議・活動の内容を定期的に取締役会に報告します。

重大なリスクが顕在化したときには緊急対策本部を設置し、被害を最小限に抑制するための適切な措置を講じます。

コマツにおける事業継続計画(BCP)の推進

コマツでは、災害・事故の発生時に社員や家族の安否を迅速に確認し、重要業務を継続または短期間に復旧するため、事業継続計画(BCP)を策定しています。本社ビルや各工場においては、大地震の発生を想定して、実際の災害時にも的確に行動できるよう定期的に訓練を実施しています。さらに各生産工場においては、各々の計画に基づき、建屋・設備の耐震補強の推進や、集中豪雨への対策を拡充しています。また、感染症のパンデミック(大流行)が懸念される際は専門委員会を設置し、適切な対策を講じます。社員に対しては、予防および感染発生時の行動マニュアルを整備するとともに、教育を実施して理解浸透を図っています。

情報セキュリティの強化

コマツは、情報セキュリティ委員会を中心にグループ全体の情報セキュリティ体制の整備を推進しています。その一環として、情報を守るには社員一人ひとりの意識向上が必須であるとの考えから「情報セキュリティガイドブック」を全社員に配布し、これに基づく教育・啓蒙に注力しています。加えて、万一の過失や外部からの侵入による改ざん、破壊、漏洩、紛失等から情報を守るため、システム上の防御の仕組みを構築しています。また、一連の施策が確実に実行され効果を発揮していることを確認するとともに、不具合点を発見・改善することを目的に「情報セキュリティ監査」を行っています。

リスク管理に関する詳細はこちらをご覧ください。

事業などのリスクと対応

当社グループを取り巻く経営環境において、現在予見可能な範囲で考えられる主な事業などのリスクは次のとおりです。

1.経済、市場の状況

当社グループのおかれる事業環境や製品の需要は、地域により異なる経済・市場環境および競争条件により、大きく変動する可能性があります。

これらの事業環境の変化が、売上げの減少、在庫水準・生産能力の不適正化を生じさせ、収益性の低下や追加費用の発生を通じて、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。

2.為替レートの変動

当社グループの海外売上げの主要な部分が外国為替の変動の影響を受けます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社グループの経営成績にマイナスの影響を及ぼし、円安になればプラスの影響を及ぼします。また、外国為替の変動は同一市場において当社グループと外国企業が販売する製品の相対的な価格や、製品の製造に使用する材料のコストに影響を与える可能性があります。

3.金融市場の変動

当社グループは有利子負債を減少させるべく資産の効率化を進めるとともに、長期の固定金利調達を織り交ぜることにより金利変動リスクの影響を軽減していますが、市場金利率の上昇は有利子負債の支払利息を増加させ、当社グループの利益を減少させるリスクがあります。また、当社グループの年金資産に関しては、市場性のある証券の公正価値や金利率など金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ年金費用の増加となり、当社グループの経営成績や財政状態に不利益な影響を与えるリスクがあります。

4.各国の規制

当社グループが事業を展開する各国において、その国固有の政府の規制や承認手続きの影響を受けます。将来、その国の政府による規制、例えば関税、輸出入規制、通貨規制、その他各種規制などが導入または変更されたときに、これらに対応するための費用が発生したり、製品の開発、生産、販売・サービス活動などに支障をきたす可能性があります。また、グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される日本および相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っていますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。さらに政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの予期しない事態に直面した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。

5.環境規制

当社グループの事業、製品は多くの国のますます厳しくなる環境規制に対応する必要があります。そのため、当社グループは各国においての環境規制および関連法規等を順守するため、研究開発費をはじめ多くの経営資源を投入しています。しかし、将来において環境規制の変更により、当社グループにとってさらに多くの費用や設備投資が必要になった場合、あるいは製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたした場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。

6.製造物・品質責任

当社グループはその事業およびその製品のために、社内で確立した厳しい基準のもと、品質と信頼性の維持・向上に努めていますが、万が一予期せぬ製品の不具合によりリコールや事故が発生した場合、製造物・品質責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があります。この費用が保険などによってカバーできない場合、当社グループの利益を減少させるリスクがあります。

7.提携・協力関係

当社グループは国際的な競争力を強化するために、販売代理店、協力企業などと様々な提携・協力を行っており、それらを通じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充を図っていますが、その期待する効果が得られない場合、あるいは提携・協力関係が解消された場合には、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。

8.調達・生産など

当社グループの部品・資材の調達は、素材市況やエネルギー価格の変動に影響を受ける。鋼材などの素材価格や原油・電力などのエネルギー価格の高騰は当社グループ製品の製造原価の増加をもたらします。また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、適時の調達・生産が困難になり生産効率が低下する可能性があります。材料費の増加等による製造原価の上昇については他の原価低減や販売価格の見直しなどによって対応し、適時の調達・生産の問題については、関係各部門の連携を密にすることにより影響を最小限にする考えですが、予想を大きく上回る素材やエネルギー価格の高騰や供給の逼迫の長期化は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。

9.情報セキュリティ・知的財産など

当社グループは事業活動において顧客情報・個人情報などを入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。当社グループはこれらの情報の機密保持に細心の注意を払っており、サイバー攻撃などによる不正アクセス、改ざん、破壊、漏洩および紛失などを防ぐため、管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。しかし、ネットワークおよび情報システムの停止や顧客情報・個人情報などの漏洩などの事故が起きた場合には、損害賠償責任を負ったり、当社グループの評判・信用に悪影響を与えたりするなどのリスクがあります。また、営業上・技術上の機密情報が第三者に漏洩・不正利用された場合、知的財産権を侵害された場合、当社グループが第三者により知的財産権の侵害を追及された場合は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。

10.自然災害・戦争・テロ・事故など

当社グループの拠点において、地震・津波・水害などの自然災害、感染症の流行、放射能汚染、戦争、テロ、暴動、火災・爆発などの災害事故、第三者による当社グループに対する非難・妨害、コンピューターウイルスへの感染などが発生し、短期間で復旧不可能な甚大な損害を被る可能性があります。また、当社グループが直接の損害を受けなくとも、物流網および供給網の混乱、電力・ガスなどの供給不足や通信障害、協力企業の生産障害などが長期にわたり継続する可能性があります。これらにより、材料・部品の調達、生産活動、製品の販売・サービス活動に遅延や中断、金融市場の混乱による資金調達環境の悪化などが発生した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。